宅配業界がブラックなのはなぜ?【現役配達員の嘆き】

宅配

私は、運送会社の下請けとして働いている個人事業主の現役宅配ドライバーです。

宅配業界はブラック。

そういうイメージを持たれている方も多いと思います。

実際に宅配ドライバーを仕事にしている私ですら、ブラックだと感じることが多いわけですから。

そんな私が、宅配業界がブラックだというイメージをもたれる理由をまとめてみました。

宅配業界がブラックな原因

時間指定の自由度が高過ぎる

宅配には、荷物を配達してもらう時間帯を指定できるサービスがあります。

それが、時間指定ですね。

宅配業界がブラックになってしまう原因の一つに、時間指定の自由度が高過ぎることが挙げられると思います。

まず、そもそも19時から21時という時間指定をお客さんが指定できる時点で、宅配ドライバーの労働時間が長くなってしまうのは当たり前です。

19時から21時まで、配達エリアにとどまって配達しなければならないわけですから。

加えて、配達が終わった後に、日報を書いたりなど、1日の〆作業があるので、19時から21時の時間指定が多数あった場合、すべての業務をこなして帰宅できるのが22時を回ってしまうこともあるでしょう。

そんな夜遅くまで働いた日は、当然疲れ切っているので、泥のように眠る。

すると、目が覚めれば朝になっていて、また仕事が始まるのです。

「俺、仕事しかしてないじゃん」

この独り言を何度呟いたことか。

夜遅くまで宅配をしなければならないから、出勤する時間を遅くして1日の労働時間を短くしようと考えるわけですが、これもまた無理です。

なぜなら、時間指定には午前指定もあるから。

午前指定も1~2件と少ない個数なら、それも可能かもしれませんが、当日の午前指定の量は、当日確認しなければ分からず、午前指定の荷物量が多くても配達しきれる時間には出勤しないとならないので、出勤時間も遅くすることはできないわけです。

ですので、午前中から夜遅い時間まで指定できてしまう、時間指定の自由度の高さによって、宅配ドライバーの労働時間が長時間化してしまうので、宅配業界はブラックだと言われてしまうのだと思います。

行き過ぎたお客様至上主義

宅配は、お客さんが依頼して、初めて仕事が発生し、収益が上がるわけですから、お客様本位になるのは致し方ないですが、正直、度が過ぎています。

例えば、再配依頼です。

一度荷物を届けに行ったお客さんが不在だった場合、不在票をポストに投函します。その不在票に記載された情報を使って、再配達の依頼をお客さんがドライバーに出せるというサービスです。

このサービスはかなりきつくて、例えば、午前指定の荷物をお客さんに届けに行ったけれど不在だった場合、時間を指定されて再配達しなければなりません。

ドライバーは、お客さんが指定した時間に配達しに行ったのにもかかわらず、また別の時間帯で配達しにいくわけですから、その日の配達予定が崩れて、効率が悪くなります。

特にお客さんが時間帯を指定せず、ドライバー側の裁量で荷物を配った結果、不在だったので再配達依頼が掛かるのは、常識的だと思いますし、お客さんに対して思うところはありません。

ですが、時間指定をしたのにもかかわらず、その時間帯に不在で、また別の時間帯に届けに来いと言われるのは、ワガママもほどほどにしとけよ、と言いたくなってしまうこともしばしばあります。

正直、時間指定がなければ、効率よく配れます。

時間指定は、ドライバー側の効率を捨てて、お客さんの利便性を優先するというサービスですから。

私のような下請けのドライバーは、固定給ではなく単価制のことが多いです。

効率が悪くなればなるほど、配達できる荷物量が減っていき、年収が下がる。

年収が下がれば下がるほど、生活のレベルは下がっていきますし、苦しい。

そういう環境下で必死に宅配をこなしているドライバーもいるというのを、もう少しお客さん側にも理解してもらえたら、宅配業界も少しはホワイトになるのかなと、思います。

置き配が世間に浸透していない

置き配とは、荷物をお客さんに直接手渡すのではなく、玄関や物置など、お客さんの指定した場所へ置いてくるという配達方法です。

置き配できる配達先が増えれば増えるほど、配達に行って不在だった家に再配達しに行かなくて済むので、配達がはかどり、労働時間が減って、ブラックな労働環境から脱却できます。

コロナウィルスの影響もあり、世間では置き配が浸透してきているような雰囲気がありますが、実際の宅配現場ではそこまでではないです。

原因は、置き配した荷物が紛失・欠損した時、誰もその被害額を負担したくないから。

運送会社からしてみれば、置き配した荷物の紛失・欠損を全負担すると、非常に大きな出費を被ることになるので、当然、嫌がる。

商品を発送した企業だって、配送したのは運送会社であって自社ではないのだから、被害額の負担なんてしたくない。

お客さんだって、置き配した荷物が壊れていたら、補償を受けたいわけです。

発送人・配達人・荷受人の全員が、置き配のリスクを負担したくないと考えているわけですから、コロナウィルスが蔓延しており、人と人との接触は控えるべきという風潮がある現状ですら、宅配現場は風潮通り動かない。

そのため、多少置き配できる配達先が増えてはいるものの、労働時間が目に見えて減るほど置き配できず、結局は長時間労働のブラックな環境のままというのが現実です。

宅配はドライバーを育てづらい仕事

宅配は、ドライバーを育てづらい仕事というのも、宅配業界をブラック化している原因の一つですね。

例えば、コンビニのアルバイトであれば、先輩や店長など、既に業務について把握している人間が、業務の全てを教えることが可能です。

しかし、宅配の場合、基本的な業務内容については教えられますが、配達エリアの情報については、自分で何回も走って、情報収集し、脳に記憶していかねばなりません。

1丁目の佐藤さんは夜しかいないから、昼間は配達に行っても意味がないとか、2丁目の鈴木さんは、表側の大きな通りではなく、裏側の細い道に私道が繋がっているため、裏側から行かなければならないとか、そういった細かいけれど、宅配するにあたって有用な情報をです。

実際に何度も配達して覚えていく情報が、宅配を効率よくこなせるドライバーになるために必要不可欠なものであり、それを前任者が熱心かつ丁寧に教えてくれればいいですが、そういう優しい方は少ないと思います。

私のような個人事業主ドライバーなんかは特にそうですが、「なんで自分の利益にもならないのに、苦労して身に着けた知恵・知識を無料で優しく教えてあげなくちゃならないんだ?」という心理が働いてしまい、自分の利にならない相手に対して、ほぼ引き継ぎはしないですね。

結局のところ、宅配ドライバーとして成長できるかどうかは、個人の努力によるところが大きいので、業務の合間に有用な情報をノートや住宅地図のコピーに書き込んだりせねばならず、ドライバーの負担が膨らんでしまい、ブラックな労働環境となってしまいがちだと思います。

大手運送会社はブラックではなくなりつつある

散々、宅配業界はブラックだという話をしてきましたが、ここで一つ朗報。

大手運送会社の正社員は、労働環境が改善されつつあると思われます。

一昔前は、正社員だろうと何だろうと長時間労働は当たり前みたいな雰囲気があったらしいですが、昨今は違いますね。

あくまで私が見聞きして感じていることに過ぎませんが、36協定を意識し、残業時間に上限を設け、休日もしっかりと取らせていると思います。

まあ、現場で働いている人間のコンプライアンス意識が高いというわけではなく、会社の経営陣の意識が高いから、そういう風に形作られているという印象ですが。

どちらにせよ、大手運送会社の正社員ドライバーは、ブラックな働き方はしておらず、正社員として宅配ドライバーをやりたいという方は、いい働き方ができるかもしれません。

まとめ

宅配業界がなぜブラックなのか、まとめてみました。

原因はいくつかありますが、どれもこれも長時間労働につながってしまうということが肝です。

この長時間労働こそが宅配のブラック化の大きな原因なので、これを改善する方法を編み出せれば、宅配業界は一転し、ホワイト業界へと変貌するのかな、と思います。

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